Vaundyさんの「踊り子」を私的に歌詞解釈

Vaundyさんの「踊り子」を私的に歌詞解釈していきたいと思います。

解釈する上で気になる言葉、「あの子」「僕」「回り出した」「止まり」「夢の中」「一度しか会ったことがない」などがあります。

後半に「忘れない愛を歌う」「変わらぬ愛の歌」という歌詞が出てきます。
「踊り子」は「普遍的な愛」について書かれたものだと考えられます。

「踊り子」の歌詞を部分ごとに分けて考察を進めていきたいと思います。

ねぇ、どっかに置いてきたような
事が一つ二つ浮いているけど
ねぇ、ちゃんと拾っておこう
はじけて忘れてしまう前に

引用元：Vaundy「踊り子」　作詞：Vaundy

「どっかに」「置いて来たような」「一つ二つ」「浮いている」

これらの言葉から受ける印象は、はっきりとしていない霧の様な状態

しかしながら　それは「ちゃんと」拾っておかないと

はじけて忘れてしまうようなもの

その　はじけてしまう前にちゃんと拾わなければいけないものとは？

回り出した　あの子と僕の未来が
止まりどっかで　またやり直せたら
回り出した　あの子と僕が被害者
づらでどっかを　また練り歩けたらな

引用元：Vaundy「踊り子」　作詞：Vaundy

「回り出した」のが「あの子」だけなのか「あの子と僕」なのか

いずれにしても　この状態が「止まり」

そして　やり直したい、また練り歩きたい　と考える

ここで　また「どっかで」「どっかを」とぼんやりとした場所「どっか」が出てきます

曲全体を通して受ける印象は、夢見心地な雰囲気

「あの子」自体も　僕の空想上の存在であると感じられます

あのね、私あなたに会ったの
夢の中に置いてきたけどね
ねぇ、どうして私が好きなの
一度しか会ったことがないのにね

引用元：Vaundy「踊り子」　作詞：Vaundy

ここで場面が変わり「あの子」目線で話が展開します

「あなたに会った」そして「夢の中に置いてきた」

一度しか会ったことがないのに私を好きになった僕に「どうして」と尋ねる

一連の歌詞は、頭の中、全ては空想の中での「あの子」を介して

「僕」が自問自答しているのだと感じます

わすれない愛の表現を

「壊(わす)れない愛」と「忘れない愛」としていることも気になります

「忘れない愛」とは何者かが忘れない　対象物として存在する愛

「壊れない愛」とは　普遍的・不変的なものとしての存在そのものの愛

時代に乗って僕たちは
変わらず愛に生きるだろう
僕らが散って残るのは
変わらぬ愛の歌なんだろうな

引用元：Vaundy「踊り子」　作詞：Vaundy

時代を生きる「僕たち」は　「変わらず」愛に生き

「僕ら」が散って残るのは

時空を超えた不変的な「変わらぬ」愛

「回り出した」「止まり」から想起されるのは　「不動の動者」

「被害者づら」で「練り歩く」とは　困難な道のりをひたすらに歩く

「覚り」への道のりは困難で辛い道の先に辿り着く場所

それは、回り続ける万物が止まる瞬間に感じられる

「第一の不動の動者」と一体となった錯覚

その一度きりの体験は強烈な感覚を残し

やがてぼんやりと薄らいでいく

またその感覚に辿り着くためには

薄らぐ記憶の中で　置いてきた何かが

はじけてしまう前に拾っておかないと

もうあの感覚に辿り着く術は失われてしまうのだろう

「あの子」とは「第一の不動の動者」であり「覚り」そして「不変の愛」

そして僕らが散ったとしても　それは「変わらぬ愛の歌」として響き続くだろうと