令和元年 日本の音楽シーンで一番ブレークしたアーティストと言っても過言ではないグループにOfficial髭男dismさんが挙げられます。
そのOfficial髭男dismさんの代表曲とも言える「Pretender」を私的に歌詞解釈していきたいと思います。
目次
「Pretender」の意味
タイトルの「Pretender」は、「何かのふりをする人」や「詐称者」という意味があります。
「Pretender」が誰の事を指しているのかによって、歌詞の捉え方も変わってくるように思われます。
私的に歌詞解釈
ラブストーリーは、ひとり芝居 そして ただの観客
君とのラブストーリー
それは予想通り
いざ始まればひとり芝居だ
ずっとそばにいたって
結局ただの観客だ引用元 Official髭男dism 「Pretender」 作詞:藤原聡
歌い出しは、君とのラブストーリーですが
ここで言う「君」とは誰で どんなラブストーリ―なのか考えたいと思います
始まったラブストーリーは予想通りに一人芝居で
そばにいても観客に過ぎない そんな恋だと聞いて疑問が広がります
ここで「君」に対して感じるのは、人間味が希薄な印象を受けます
続きはしないことを知ったロマンスとは
感情のないアイムソーリー
それはいつも通り
慣れてしまえば悪くはないけど
君とのロマンスは人生柄
続きはしないことを知った引用元 Official髭男dism 「Pretender」 作詞:藤原聡
人間味の希薄な「君」からは いつもの無感情な反応
そんな反応にも もう慣れて居心地もさほど悪くはない
けれども 経験則から直感的に続きはしないと感じてしまっている
違う世界線を選べたならば
もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で もっと違う価値観で
愛を伝えられたらいいな そう願っても無駄だから引用元 Official髭男dism 「Pretender」 作詞:藤原聡
何かが違う状況で「君」に辿り着けたなら
自分自身が違う性格や価値観を持って
「君」に出逢えていたなら 違っていたのかと
淡い願望を抱いたとしても 結末は変わらない
君の運命のヒトは僕じゃない
グッバイ
君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも
甘いな いやいや引用元 Official髭男dism 「Pretender」 作詞:藤原聡
君の運命のヒトは僕では無いと知り訣別を覚悟する
けれども いざとなるとやっぱり離れ難い
覚悟してみたものの ふと触れただけでも
その想いは揺らぎ 心が痛む
僕にとって君は何?
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」引用元 Official髭男dism 「Pretender」 作詞:藤原聡
「君」との訣別を覚悟してはみても
「君」は僕にとって何だったのだろうと考えてしまう
きっとその答えは分からないし 知れたとしてもどうしようも無い事
でも確かに感じたことは 絶対的で超越した存在である「君」
言葉にするとすれば 「君は綺麗だ」
誰かが語る恋愛の論理
誰かが偉そうに
語る恋愛の論理
何ひとつとしてピンとこなくて
飛行機の窓から見下ろした
知らない街の夜景みたいだ引用元 Official髭男dism 「Pretender」 作詞:藤原聡
ここで言う「恋愛の論理」は 相手が人間味が希薄な「君」と考えると
所謂、俗的な恋愛に関してでは無く別の意味と捉えられます
先に述べた通り「君」が絶対的で超越的な存在、つまり神的なものと考えます
神的な「君」との恋愛の論理となれば、想起されるのは精神的なもの「覚り」に関するもの
ここで歌詞を見てみると「誰かが偉そうに語る」と揶揄するような言い回し
さらに「何ひとつとしてピンとこなくて」とまるっきり的外れで無駄なものと切り捨てる
「知らない街の夜景」みたいに遠目に何となく煌いて見えるようなものを
遥か高い次元である「飛行機の窓」から見下ろしている構図を示してくれている
虚しい願い
もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
いたって純な心で 叶った恋を抱きしめて
「好きだ」とか無責任に言えたらいいな
そう願っても虚しいのさ引用元 Official髭男dism 「Pretender」 作詞:藤原聡
もっと子供の様に無邪気で純粋に「君」に辿り着いた喜びを
馬鹿みたいに叫べれば良かったのかもしれないけど
そんなことは自分には出来ない
そう「君」は幻影にすぎないと知っているから
疼きだす未来
グッバイ
繋いだ手の向こうにエンドライン
引き伸ばすたびに 疼きだす未来には
君はいない その事実に Cry…
そりゃ苦しいよな引用元 Official髭男dism 「Pretender」 作詞:藤原聡
訣別を覚悟したとしても 「君」が幻影だと知ってしまったとしても
今まで歩んで来た道程を思うと その覚悟が揺らいでしまう
「君」が幻影だとしても いつまでもその余韻に浸っていたいと
エンドラインを先に延ばしてしまう
でも結局、自分の未来には「君」はいない
その事実は変えようもないから 胸が張り裂ける程苦しい
でも離れ難いのさ
グッバイ
君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも 甘いな いやいや引用元 Official髭男dism 「Pretender」 作詞:藤原聡
頭では分かっているけど やっぱり覚悟が揺らいでしまう
そんな心境を端的に表しているのが「でも離れ難いのさ」と言える
僕にとって君は何?
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」引用元 Official髭男dism 「Pretender」 作詞:藤原聡
ずっと残る疑問 「何で僕は君に出逢ってしまったのだろう」
きっとその答えが明らかになることは無いだろうし、知る意味も無いのだろう
全てが幻影だとしたとしても その中でたった一つ確かなことがあるとするならば
「君は綺麗だ」ということだ
ロマンスの定め
それもこれもロマンスの定めなら 悪くないよな
永遠も約束もないけれど
「とても綺麗だ」引用元 Official髭男dism 「Pretender」 作詞:藤原聡
すべての事が 定められた結末だとするならば
「君」が幻影として存在するのであるならば
幻影で良い、永遠な存在でなくても また逢える約束も無くても良い
その存在は
「とても綺麗だ」
まとめ
冒頭で記した通り「Pretender」は、「何かのふりをする人」や「詐称者」という意味であり、恋愛の歌であれば 彼氏・彼女のふりをする人と言うことになる。
私的に解釈した内容では、「君」は人間味が希薄で 言うなれば 「神的なもの」として考えております。
「君」が「神的なもの」であるならば、この曲「Pretender」の歌詞に出てくる ラブストーリーやロマンスは、俗的な恋愛では無く「覚り」に至るまでの過程を喩えているものと考えます。
他のミュージシャンでも 恋愛の歌に見える歌詞だが、内容は「覚り」のことを表現しているものが多く見られます。
話しを戻して、「何かのふりをする人」や「詐称者」という観点で言うならば、この曲では「君」がそれにあたる。
「君」は幻影として消えるもの、「神様の偽者」として現れたもの。
僕から見た「君」は正に「神様のふりをする何か」言うなれば「神様の詐称者」である。
Official髭男dismさんの「Pretender」は、僕から見た「君」は「神様の偽者」詐称者かもしれない、たとえ「神様のふり」をしたものでも出逢えた事は忘れ難いものであり、それが変えようもない定められた結末であれば受け入れる。
「君」が「神様の偽者」だったとして、その幻影が薄らいでやがて消えゆくものだとしても、歩んで来た道に一片の悔いなしと、その「君」に対する畏敬の念を一言で表したものが
「とても綺麗だ」
といういうことを述べて、Official髭男dismさんの「Pretender」の私的に歌詞解釈の結びとさせて頂きます。