「灰色と青」
「灰色と青」は何を意味しているのでしょうか?
歌詞に“朝日が昇る前の”とありますので、夜明け前と後の色を表していると考えられます。
そして、夜明け前後の空の色は何を喩えているのか?それが「灰色と青」を私的に歌詞解釈する上でのポイントになります。
夏の終わりに思い出す風景
袖丈が覚束ない夏の終わり
明け方の電車に揺られて思い出した
懐かしいあの風景
たくさんの遠回りを繰り返して
同じような街並みがただ通り過ぎた
窓に僕が映ってる引用元:「灰色と青」 作詞:米津玄師
夏の終わりに思い出す懐かしい風景
繰り返した たくさんの遠回り
同じような日常が ただ流れていくように過ぎ
そんな歯がゆくも懐かしい思いに耽る
ぼんやりと窓に映っている自分を見ている
あの頃みたいにいるのだろうか
君は今もあの頃みたいにいるのだろうか
ひしゃげて曲がったあの自転車で走り回った
馬鹿ばかしい綱渡り 膝に滲んだ血
今はなんだかひどく虚しいどれだけ背丈が変わろうとも
変わらない何かがありますように
くだらない面影に励まされ
今も歌う今も歌う今も歌う引用元:「灰色と青」 作詞:米津玄師
“君は今もあの頃みたいにいるのだろうか”の君とは
ひしゃげて曲がった自転車 綱渡り 滲んだ血
ひどく虚しい
背丈が変わる=成長する・時が流れる
変わらぬ自分の支えとなる大切な何かがあれば
くだらない面影・君と過ごした思い出に
励まされ 何となく生きていける
心から震えたあの瞬間
忙しなく街を走るタクシーに
ぼんやりと背負われたままくしゃみをした
窓の外を眺める
心から震えたあの瞬間に
もう一度出会えたらいいと強く思う
忘れることはないんだ君は今もあの頃みたいにいるのだろうか
靴を片方茂みに落として探し回った
「何があろうと僕らはきっと上手くいく」と
無邪気に笑えた 日々を憶えている引用元:「灰色と青」 作詞:米津玄師
この歌詞があることにより「灰色と青」は幼馴染との思い出の曲から
別の意味を持った曲へとその解釈を飛躍させることが出来ます
「覚り」の境地へと到達したことを
夜明け前の灰色から夜が明けた青い空に喩えたと考えられます
“何があろうと僕らはきっと上手くいく”と思っていた
それは幻想として一瞬の内に消え去り
そして幻影が深く心に刻まれる
どれだけ無様に傷つこうとも
どれだけ無様に傷つこうとも
終わらない毎日に花束を
くだらない面影を追いかけて
今も歌う今も歌う今も歌う朝日が昇る前の欠けた月を
君もどこかで見ているかな
何故か訳もないのに胸が痛くて
滲む顔 霞む色引用元:「灰色と青」 作詞:米津玄師
手にしたものは 幻影であったことを知り
“無様に傷つこうとも” その幻影を追いかける
すべてが結実し光輝く前の
やがて消えゆく欠けた月の儚さを思い起こさせる
あの儚き月 夜明け前の最高潮の高揚感を
思い出しているのだろうか
儚く切なく 行き場の無い想いに襲われる
すれ違うように君に会いたい
今更悲しいと叫ぶには
あまりに全てが遅すぎたかな
もう一度初めから歩けるなら
すれ違うように君に会いたい
胸を締め付けるような 切ない思いをしないで済むならば
いっそ “すれ違うように君に会いたい”
始まりは青い色
どれだけ背丈が変わろうとも
変わらない何かがありますように
くだらない面影に励まされ
今も歌う今も歌う今も歌う朝日が昇る前の欠けた月を
君もどこかで見ているかな
何もないと笑える朝日がきて
始まりは青い色引用元:「灰色と青」 作詞:米津玄師
どれだけ時が流れようとも あの日覚えた感覚は消えない
そんな幻影に支えられ 歩み続けていられる
そんな輝いた幻影である「君」も何処かにいるのだろうか
すべてが消え去った後 その虚しささえも消え去り
何もないそんなことを ただ笑い飛ばせる日がやってきて
生まれ変わるそんな日も
始まりは いつの日か感じた夜明けの青い色