それはマンションの外壁塗装工事をしようとした際に起こりました。
そのマンションは、修繕積立金は無く共益費で賄いきれない費用は都度払いになっていました。
通常は費用負担は持ち分比率で割り当てられます。
費用負担をなるべくしたくないと思う人が出て来ました。
費用負担を抑えたい人は次のような主張をしてきました。
自分は該当不動産を買って数年しか経過していない。
数年しか経っていないのに、外壁塗装費用負担するのは辛い。
私の身になって考えて欲しい。
所有年月が長い人が多く負担し、所有年月が短い人は負担を少なくすべきである。
こちらとしては、所有年月の長短を基準に工事費用の負担割合を決めるなんて聞いたことがありませんでした。
ここではったりが発動されました。
彼は、所有年月の長短で費用負担額を決めた判例がいくつもありますよと言い出しました。
判例がいくつもあると、いくつもとわざわざ強調することにより
それがあたかも真実のように見せようとしたのでしょう。
数の論理とでも言えば良いのでしょうか、一つの事例より二つ、二つより三つ、いくつもあると言った方が信憑性が高まると考えたのでしょう。
しかしながら判例がいくつもあるのならば、判例の二つや三つを提示するのは簡単な事でしょうと提示をお願いしました。
結局、判例は見つからなかったと白状しました。
そうです「はったり」だったのです。
裁判や判例を口にして、自己に有利な方向へ事を運ぼうとする人は多く存在します。
裁判と聞けば、多くの人は身構えます。そこを狙う詐欺師も多くいます。
今回の場合、判例つまり裁判所が認めたということを装って、事を優位に運ぼうとしたと考えられます。
判例がいくつもあると言っていたのに、判例は見つけられなかったというのは、判例があるというのが「はったり」だったことを物語っていると言えるでしょう。
人は嘘をつく、一か八かで「はったり」をかまして、相手がそれに騙されればそれはそれで儲けもの位で「はったり」をかます人もいます。
言われたことを鵜呑みにするでは無く、事実がどうかを確認することは大切な事です。
もし「はったり」がばれた場合、つまりは相手は騙そうとしていたこともばれたことになります。
はったりがばれた後の事の運び方は難しいものがあります、発言の信憑性は損なわれます。
「はったり」は、上手くいけば良いのですが、失敗した際には信頼は失われます。
今回の「はったり君」に対しては、もともと信頼していなかったので特に関係ない事でした。
結局、彼は外壁塗装費用を負担したくなかったのか、区分所有部分を売却してしまいました。はったりも売却するまでの時間稼ぎの策のひとつだったのかもしれません。
彼は他人を欺く事に長けていた人だと思います。
機会がありましたら、別の機会にエピソードを紹介出来ればと存じます。