今から四半世紀前の2000年頃のお話しではありますが、勤務先に先物取引の勧誘電話がよく掛かってきました。その時のやり取りから学べる心理学、交渉術について書きたいと思います。
当時は社内の電話帳(部署・名前・内線と外線番号)の管理が甘かったせいもあり、勧誘の電話が名指しで掛かってきておりました。
警戒心を解く話し方
電話での第一声は、普通に社名と名前を言い、特におかしな点もなく穏やかに話をするところから始まります。
「先日、購買部の〇○さんと電話でお話させて頂きまして」
「いい会社にお勤めですね」「経理部なんて優秀なんですね」
「休日とか何かされているのですか?」「何か趣味はありますか?」
実際に存在する他部署の方の名前を使い、あたかも面識があるかのように話すが、実際には電話して話しただけであったり、名前だけを電話帳から使っただけであったりする。
会社を褒めたり、所属部署を褒めたりして 優秀ですねとおだて持ち上げる。
休日の過ごし方や趣味などのプライベートなことを聞いて、そこから話を膨らませる。
そして、趣味や休日に使えるお金が増えたら良いと思いませんか?と投資への勧誘が始まる。
可哀そうな自分を装い、同情を誘う
こちらを優秀ですねと持ち上げて、それに対して自分は全然だめですと卑下して同情を誘う。
今月契約が取れていないので、人助けだと思って少しでいいんで契約してもらえませんか
利益を出して、趣味のゴルフに行く回数が増えたお客さんもいるので、○○さんにとっても悪い話では無いとの思います
やってみて、合わないと思ったら いつでもやめられますので
などと、人助け・そんなに大変ではないことを強調して 断り難く話を持って行く
圧を掛けてくる
断り続けると、何でやらないんですか? 自由になるお金が増えたらいいと思いませんか?長時間電話して契約取れなかったら、上司から怒られちゃいます。等々電話を切らせないように次々と話を振ってきます。
「何でやらないんですか?」 質問に答えさせ時間を延ばす
「自由になるお金が増えたらいいと思いませんか?」 普通に考えれば増えた方がいいと言う答えになる。そうしたら投資をしましょうと言われる。
最終的に断り続けた結果、私の場合には
「こんだけ時間を取らせておいて、やらないはないでしょう」とこちらを責めて来たり
「家族にも相談しないと決められない」と言ったことに対して
「大の大人の男が自分でそんな事も決められないって、情けないと思わないか」と罵声を浴びせる始末
まとめ
突然会ったこともない人物から電話で投資の話しをされても、やすやすと契約までする人は少ないと思いますが、おだてられたり・同情させられたり・なかなか電話を切らせてくれないなど、電話で勧誘される側から見れば迷惑な話しです。
しかし相手にしてみればそれを仕事にしているので、何とか契約させようと必死になるのも解りますが、契約する気がさらさら無い者にとっては迷惑千万極まりないことです。
まず、興味が無いなら断る。何を言われても、やる気が無いなら断る。
私の場合は兎に角、断り続けました。その結果、罵声を浴びましたが、良識のある営業マンであれば、そのような態度を取ることはありませんので、罵声を浴びせられても気にせずに「はい、はい、お疲れ様です」とでも思って、受け流せば良いのです。
よく知らない人に、褒められたり、おだてられたり、同情を押し付けられたり、責められたりされた時には、相手がどのようなことを考えてこちらに言っているのかをよく考える必要があります。大抵の場合はこちらの心理を揺さぶり、思い通りにさせる意図が含まれています。
親近感を抱かせ、断ることへの罪悪感を感じさせる事象は、日常に溢れています。
知り合い同士でも、何かをして貰ったので断り難いという「返報性の法則」を使う人は結構な確率でいます。そのことが全て悪いとは言いませんが、中には10の事をして100の事をしてもらおうとする人もいるので気を付けましょう。
営業電話は、受ける気が無いなら早めに丁重にお断りするのが一番の対処法です。
特定商取引法が改正され、電話勧誘販売・訪問販売において消費者がはっきりと勧誘を断っているにも拘わらず、業者が引き続き勧誘を続けたり、再度勧誘をすることを禁止しているようですので、このような電話勧誘によるトラブルは少なくなってきているようです。